今回は患者様からの質問をご紹介。整体やマッサージなど自分がどのくらいのペースで施術に通ったら良いか考えるヒントにしていただければ幸いです。
80代半ばの物腰が柔らかく可愛らしい女性で、毎月2回程度いつも数日前にご予約の電話をくださる患者様がいらっしゃいます。先日、その患者様からこんな相談を受けました。
「先生のところで施術をすると、その日から2・3日体がダルくなってその後とても良くなる。良くなると色々動いてまた腰が痛くなっってしまう。何か自分で行ったら良いことはありますか?」という相談。
実際、この方には「普段のお腹のマッサージや呼吸の仕方」「お風呂に入ったときのマッサージ」「寝るときの体勢」などなど色々アドバイスをして、どれも真面目に実践していらっしゃるそうです。それでも、もっと症状を改善していきたい気持ちがあるご様子でした。
正直、もっと違うアドバイスをお伝えすれば、この方に合った改善方法が見つかるかもしれません。しかし、アドバイスを増やしてやることが多くなってしまう事もご年齢を考慮すれば過ぎたるものになってしまう可能性があります。また、施術後にダルくなってしまう日数が当日なら適当なのですが、2・3日というのはちょっと長すぎで、これは施術の量が患者様に対して多すぎでした。(反省です、、、それでも朝起きる時に、痛みを感じて起きることがなくなったと喜んでいただいています))
では、施術の量・時間はどのくらいで施術を受けたら良いのでしょうか?
「人生は川下り」
美空ひばりさんの歌「川の流れのように」のように、人生は河に例えられます。
東洋医学では、この河を下っていくために必要なのは、「腎気」と考えられています。
自分の体はボート、「呼吸」と「食事」は2本のオールです。
頑丈なボートを持っている人もいれば、乗るのがやっとというボートの人もいます。これは、その人の体質そのもの。オールも太い人、細い人様々です。100人いれば100通りの組み合わせがあります。そして「腎気」で上手く操り川下りをしていきます。
頑丈なボートが良いのでしょうか?頑丈であれば良いに越したことはありませんが、頑丈なボートには、しっかりしたオールが必要です。オールを漕ぐパワー(腎気)も余分に必要です。逆に、小さなボートでもオールを巧みに操り、効率よく漕ぐこともできます。
下る河も人それぞれ。流れの早い場所もあれば、岩や浅瀬、行き止まりなどなど、同じではありません。
そして、ボートやオールが壊れてしまった時、どうしても自分でボートを漕ぐことができなくなった時、最後の頼みの助っ人が「治療や薬」となります。
「養生はゆっくり川上に向かっていくようなもの」
残念ながら、この川下りには必ず終わりがあります。でも、日本は「人生100年時代」。人生50年と言われた過去からは想像できないほど長寿の時代になりました。
栄養ある食べ物、安心できる社会環境、体に楽な生活・医療の発展は、「助っ人」として常に私たちをサポートしてくれます。長寿になるのも納得できますよね。
しかし、必要以上の「助っ人」は考えものです。
美味しい食べ物は、私たちのボート・オールを必要以上に重くして、楽な暮らし・薬の多用は、私たちが自分で漕ぐ気力を削いでいきます。これでは、下っているのではなく流されている様なもの。つまり、長生きしているのではなく、生かされているだけなのでは?と思ってしまいます。
昔の人でも長寿の人はたくさんいました。でも、彼らは健康であったから長寿になったのであり、多くの「助っ人」がいたからではありません。彼らの多くはボートとオールを自分に適するように調整して漕ぐパワー(腎気)を養い・節約すること、つまり「養生」を行うことで健康・長寿を全うしました。 自分で漕いで行く先を調整し、時には流れに逆らって進む力を持つ。健康・長寿にとって養生はとても大切な考え方だと思います。
「治療は急性症状は短く・慢性症状は長く」 当院では、治療は養生の一環であり、心身とパワー(腎気)のバランスを調整するものだと考えます。 患者様の体調や症状に合わせて治療の量や回数は考えていきますが、自分で健康になる力(自然治癒力)が出るにはどの程度が良いのか?が大事です。
子供や若年にとっては腎気に余裕があるため治療は短期に、壮年になるほど長期にという目安はありますが、やはりバランスを診ながらになります。
前述した患者様は、もう少し短い間隔(1週間に1回程度)で短い施術(30分程度)でご提案させていただきました。やはり、腎気を養う必要があるためです。 治療は、短ければ短いほど良いに越したことはありません。時間やお金の節約にもなりますし。しかし、短いだけで治らない、何度も繰り返してしまっては元も子もありません。当院は「治良」と称しているように体が良くなっていく(自然治癒力を養う)治療を考えて行っています。自分に一番適した治療の内容と回数を考えているかどうか?治療院を選ぶ際のポイントにしてみてください。
東洋医学は美容と健康に役立つエッセンスの宝庫。
でも、東洋医学(主に中医学)は漢字ばかりで難しそうなイメージが・・・
このブログでは、そんな方にもわかりやすいように、学問としての東洋医学ではなく、
実際の治療現場で目にしたり・自分が経験した事例を元に、東洋医学をご紹介します。
(化粧品業界で13年、治療現場で12年の私個人の意見も含みます。)
きっと、あなたの美容や健康にお役立ていただけるはずです。
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